この記事の要約

ケアマネジャーの働き方や勤務先ごとの業務、役割の違いについて解説します。ケアマネジャーは介護業界のスペシャリストであり、利用者の代弁者の役割を担います。働き方については多種多様であり、正社員だけでなくパート・アルバイト・派遣としての勤務に加えて、独立開業も可能です。ケアマネジャーの業務内容は、居宅や施設など勤務する業態によって大きく変わります。自身が希望する働き方や給料によって、選ぶことが可能です。またリモートワークやフレックスタイム制を導入する施設も増えています。ライフステージの変化や仕事とプライベートのバランスを見直す際には、様々な働き方があることを再確認しましょう。

 
ケアマネとして働きたいけど、施設の業務内容が分からない。
 
ケアマネはリモートワークで働けるの?フレックスは?

そんな疑問をお持ちの方もいるかもしれません。

ケアマネジャーの働き方は、正社員から独立開業まで様々です。また勤務先の事業形態によって役割や業務内容も多種多様です。

また最近では、フレックスタイム制やリモートワークを導入する施設も増加しています。ライフステージの変化やワークライフバランスを見直す際には、働き方や勤務する業態を今一度確認すると良いでしょう。

そこで今回は、ケアマネジャーの働き方や役割について徹底的に解説していきます。

具体的には、

  • ケアマネジャーの働き方について
  • 勤務先別ケアマネジャーの役割について
  • ケアマネジャーとリモートワークやフレックスタイム制

の順にご紹介します。

介護業界のスペシャリスト!ケアマネジャーとは?

ケアマネジャーは介護支援専門員とも呼ばれ、「利用者の代弁者」の役割を果たしています。病気や認知症になってしまった利用者の望む暮らしを実現するため、様々な職種と連携するのです。

ケアマネジャーの主な仕事は、ケアプランの作成や介護サービスの調整、医療機関との連携です。他にも利用者や家族から相談を受けたり、病院受診に付き添うこともあります。

特に独居の利用者対応については、介護サービス以外の生活全般をカバーしなければならない場面も多くあります。ケアマネジャーの業務は、かなり広範囲といえるでしょう。

ケアマネジャーの働き方にはどんなものがある?

ケアマネジャーには、どのような働き方があるのでしょうか?ここでは、ケアマネジャーの働き方を5つ紹介します。

勤務先と雇用契約を結ぶパターン

勤務先と雇用契約を結ぶ働き方として、「正社員」「契約社員」「パート・アルバイト」「派遣」の4つがあります。

正社員と契約社員の違いは、「雇用期限があるかどうか」です。

正社員は定年まで勤務することが前提となっているのに対して、契約社員は契約の期間が定められています。

ケアマネジャーは、パートやアルバイトとしても勤務可能です。5年に1回受講しなければならないケアマネジャーの更新研修についても、パート・アルバイトの働き方で実務経験とみなされるので問題ありません。

また派遣で働く場合については、施設でなく派遣元の紹介会社と契約を結びます。

開業して独立するパターン

ケアマネジャーが新規事業として法人を設立し、開業する働き方もあります。

独立開業する最大のメリットは、担当件数を多く持ち収入アップできることです。自宅を事務所にするなどの工夫をすれば、更に効率の良い運営ができるでしょう。

一方デメリットもあります。

利用者の入院や死亡などで担当件数が減少した場合、収入は減少します。新規利用者についても、最初からスムーズに獲得できる保証もありません。

施設勤務に比べると、リスクは高いと言えるでしょう。

勤務先別に解説!ケアマネジャーの業務や役割の違いは?

ケアマネジャーの業務内容や役割は、勤務先によって様々です。

ここでは5つの勤務先でのケアマネジャーの仕事内容について紹介します。

居宅ケアマネの仕事内容

居宅ケアマネジャーは、ケアプランの作成や介護サービスの調整など要介護認定を受けた利用者が自宅で生活するための支援を行います。「居宅ケアマネ」と呼ばれ、居宅介護支援事業所が勤務先です。

居宅介護支援事業所は、介護施設や病院が運営しているケースが多くあります。

居宅ケアマネは、利用者が望む暮らしを実現するためデイサービスや訪問ヘルパーなどの多職種と連携します。そして毎月、実際に行われたサービスについて料金を計算し決定する「給付管理」を行うのです。

また最近では地域との連携も重視されており、ボランティアなどの社会資源への知識も求められています。

施設ケアマネの仕事内容

「施設ケアマネ」とは、老人保健施設や特別養護老人ホームなどで勤務するケアマネジャーを指します。仕事内容は、居宅ケアマネと同様にケアプランの作成を行います。

居宅ケアマネと大きく異なるのは、勤務先の施設で利用者が生活していることです。

環境も整えられており、スタッフから常に正確な情報を収集できます。

また、施設によってはケアマネジャー業務に加えて介護職員として現場に立つこともあります。その場合には夜勤手当や介護職員処遇改善手当を受け取れるので、収入は高くなるでしょう。

地域包括支援センターでのケアマネの仕事内容

地域包括支援センターでのケアマネジャーの役割は、保健師や社会福祉士と共に「介護予防マネジメント」を行うことです。高齢者が介護にならないことを目的とします。

地域の人たちが介護のことで困った時、最初に相談するのが地域包括支援センターです。

また地域包括支援センターには、居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどから困難事例や虐待についての相談も寄せられます。よって地域包括支援センターのケアマネジャーには、総合的な知識や経験が求められます。多方面に深く関わることに、大きなやりがいを感じられる仕事だと言えるでしょう。

地域包括支援センターの経営母体については、社会福祉法人が行政からの委託を受けて運営する場合と、市町村などが直接運営する場合があります。

小規模多機能型居宅介護でのケアマネの仕事内容

小規模多機能型居宅介護は、「通い・訪問・泊まり」を一体的に提供するサービスです。そして訪問看護を加えたのが、看護小規模多機能型居宅介護です。

ケアマネジャーの仕事内容は、居宅ケアマネや施設ケアマネと大きな差はありません。ケアプランの作成や給付管理を行い、時にはケアマネジャーが介護職員として現場に入ることもあります。

利用者の状況に応じて、どのように「通い・訪問・泊まり」を組み合わせて提供するかがケアマネジャーとしての腕の見せ所と言えるでしょう。

自治体の役所でのケアマネの仕事内容

役所雇用のケアマネジャーは、以下の2つのタイプに分けられます。

  1. 役所の社会福祉課・福祉保健課・地域保健課などに所属するケース
  2. 各市町村が運営する地域包括支援センターに所属するケース

①については、役所の職員として業務を行います。

具体的には住民から相談を受けたり、介護施設への実地指導を行ったりします。

②の地域包括支援センターについては上述のとおり、保健師や社会福祉士と共に「介護予防マネジメント」を行います。

実際のところどうなの?ケアマネの働き方に関するQ&A

ここでは、よくあるケアマネジャーの働き方に関する疑問4つについてお答えします。

 
ケアマネはリモートワークできる?
 
 

部分的には可能です。ケアマネジャーは定期的に利用者宅を訪問することが決まっているので、全てリモートワークにすることは難しいです。ケアマネジャー間の連絡や、ネット環境のある家族との連絡ならリモート可能です。最近ではコロナ禍の影響もあり、家族が希望した場合はWebでの担当者会議も認められています。リモートワークに追い風が吹いていると言えるでしょう。

 
ケアマネだけどフレックスタイム制で働くことはできる?
 
 

(施設でフレックスタイム制が導入されていることを前提として)可能です。ケアマネジャーとフレックスタイム制の相性は良いと言えます。ケアマネジャーは利用者や家族の都合によって朝早くや夕方に訪問するケースが多くあります。フレックスタイム制を適用できれば、残業を減らせるので有効です。残業が減れば残業代を支払う必要がなくなるので、経営面にも良い影響があります。ケアマネジャーにとって、フレックスタイム制の導入はメリットが大きいのです。

 
ケアマネに夜勤はある?
 
 

老人保健施設などの施設ケアマネであれば、介護職員として夜勤をする場合もあります。ただし夜勤手当が支給されるので、収入は上がるでしょう。また居宅ケアマネであっても、自宅で過ごす利用者の急変時などに駆けつける場合もあります。

 
ケアマネはどのように休日を取っているの?
 
 

居宅ケアマネは、自分の仕事の進み具合で休日調整ができます。業務に差し支えなければ大型連休の取得も可能です。施設ケアマネが介護職員を兼務する場合は、シフト次第でしょう。居宅・施設ケアマネに共通するのは、休日でも利用者や家族から連絡があれば対応しなければならないことです。施設によっては、ケアマネジャーが交替で転送電話を持ち負担を軽減している場合もあります。

まとめ

ケアマネジャーの働き方や、勤務先ごとの業務や役割の違いについて解説しました。

ケアマネジャーは介護保険制度の要であり、経験も知識も兼ね備えたスペシャリストです。一方では深刻なケアマネジャー不足のために、多くの施設が様々な働き方で募集しているのも事実です。

中にはリモートワークやフレックスタイム制を導入し、特色を出す事業所も多く現れています。ライフステージの変化やワークライフバランスの見直しの際には、多様な働き方があることに目を向けるのもいいでしょう。

所属する法人内での異動が難しい場合には、希望する働き方を提案してくれる施設への転職を検討するのは有効な手段です。少しでも気になる施設がある場合は、担当者と面談し詳細を確認することをおすすめします。

この記事を参考に、あなたが望むスタイルを見つけられれば幸いです。

ABOUT ME
朝水 裕一/現役ケアマネライター
介護業務に従事して11年目の現役ケアマネジャー。 介護福祉士、認知症ケア専門士、第1種衛生管理者の資格を保有。 大型デイ、認知症対応型デイ、グループホームでの管理者経験あり。 管理者時代は「チームワーク重視の熱血型」。「2年間退職者ゼロ」を達成。 元塾講師の経験を活かし、介護職員初任者研修で講師を務めることも。 「分かりやすく人に伝える」をモットーにWebライターとして活動中。