この記事の要約

介護施設を運営管理する支配人のメリットや収入について解説します。将来への不安を感じて、キャリアを積んだ男性介護士が業界を辞めてしまうケースが少なくありません。介護現場で働き続けることが体力的に厳しく、夜勤の回数なども少なくなる傾向にあります。現に男性介護士の年収は、50歳をピークに減少しています。男性介護士は現場での勤務が厳しくなれば、転職すべきなのでしょうか?答えは「NO」です。大好きな介護の仕事を続けながら収入を増やし、キャリアアップできる方法があります。それは、施設を運営管理する支配人を目指す方法です。

 
最近、介護現場で働くことがキツくなってきた。特に夜勤が厳しい…。
 
結婚を考えているけど、介護士の収入で暮らしていけるのだろうか?

そんな悩みや不安をお持ちの方もいるかもしれません。

実際に将来の不安を感じて、介護の仕事を辞めてしまう男性介護士が一定数いるのも事実です。

政府の統計で、男性介護士の給料は50歳をピークに下がることが分かっています。50代は、人生で最も支出が増える時期と言われています。

男性介護士は収入の不安なく、介護業界で働き続けることはできないのでしょうか?

その悩みを解決する方法は、「介護施設を運営管理する支配人になること」です。

そこで今回は、支配人になるメリットや収入について徹底的に解説していきます。具体的には、

  • 男性介護士が業界を辞めてしまう理由
  • 男性介護士がキャリアアップする方法
  • 支配人になるメリット
  • 支配人の収入について

の順番に紹介します。

やはり収入がネック?男性介護士が業界を辞めてしまう理由

ある程度のキャリアを積んだ男性介護士が、業界を辞めてしまうケースがあります。

退職の背景には、どんな理由があるのでしょうか?

政府の統計調査を基に解説していきます。

男性でも「寿退社」?男性介護士が抱える将来の不安

介護業界において、男性が結婚を機に退職をする「寿退社」が一定数存在します。

キャリアを積んだ男性介護士が業界を辞めてしまう多くの理由は、「将来に不安」を感じるからです。

令和2年10月に実施された調査では、男性介護士が前職を辞めた理由の第1位は「自分の将来の見込みが立たなかったため」でした。(26.9%)

結婚して家族が増えれば、収入を増やす必要があります。

このまま介護現場で働き続けること、ましてや夜勤を続けていく自信がなく退職してしまう男性介護士がいるのです。

男性介護士の収入は50がピーク!?

令和3年度に実施された調査によれば、男性介護士が介護職として現場で働き続けたとしても50を境に平均給与が下がる結果が出ています。

これは年齢を重ねるに伴い、20〜30代の頃より夜勤回数を減らしていることが原因と考えられます。

50代といえば、「家計支出の最も多い時期」と言われています。

お金が必要な時期に収入が下がってしまうことから、将来の不安を感じ退職してしまう男性介護士が一定数いるのです。

諦めるのはまだ早い!介護業界の将来性は明るい!

ニーズ面から見れば、介護業界の将来は非常に明るいと言えます。

なぜなら人口減少が不安視される将来においても、高齢者が全人口に占める割合は増えていくからです。

令和3年版高齢社会白書によれば、総人口に占める65歳以上の者の割合(高齢化率)は令和2(2020)年の時点で9.3%であり、令和42(2060)年には17.8%にまで上昇すると見込まれています。

今後50年で、高齢化は急速に進展するのです。

介護ニーズは今後も増え続けるので、業界の未来は非常に明るいと言えます。

内閣府令和3年版高齢社会白書」(P8)

中上級者は必見!男性介護士がキャリアアップする方法とは?

男性介護士が「大好きな介護業界」で働き続けるためには、キャリアアップが必要不可欠です。

ここでは男性介護士がキャリアアップする方法4つについて紹介します。

それでは順に紹介していきます。

管理職や支配人を目指す

介護施設の運営管理を行う支配人を目指す方法です。

各施設に1名程度しか在籍しないので、非常にハードルが高い印象があるかもしれません。しかし実際には、介護施設の支配人についても深刻な人材不足なのです。

思い切って支配人を募集している介護施設へ応募してみるのも、キャリアアップにつながる可能性があります。

介護系の上位資格を取得する

次に資格を取得して、キャリアアップを目指す方法です。

代表的な資格として、介護福祉士の他にケアマネジャーや社会福祉士があります。施設によっては、資格手当が支給される場合があります。

また社会福祉士を取得すれば、病院で医療ソーシャルワーカーとして勤務することも可能です。

医療分野の資格取得にチャレンジする

医療分野の資格を取得して、キャリアアップする方法です。

介護系資格に比べて、医療系の資格は給料が高い傾向にあります。例としては、看護師・PT・OTなどが挙げられます。

以上の資格には、介護から転向する人も一定数いるのが現状です。合格した場合には、収入アップが見込めるでしょう。ただし、資格取得までに学費や勉強時間が必要です。

独立・開業する

最後に、独立・開業する方法です。

自身が理想とする介護施設を開設し、運営できるメリットがあります。その反面、人材確保や開業資金が必要であり非常にハードルが高いと言えるでしょう。

実際のところどうなの?管理職や支配人になるメリットは?

ここでは、支配人になるメリット3つについて紹介します。

具体的には、

  1. 特別な資格は必要ない
  2. 夜勤がないので体力面でも負担が少ない
  3. 介護業界以外でも通用するスキルが身につく

の3つです。

それでは、順番に解説します。

特別な資格は必要ない

支配人を目指す上で、特別な資格は必要ありません。

医療系など施設形態によっては、資格や研修受講などの要件があります。ただし、勤務年数などで緩和されることが多いのが現状です。

これまで介護現場で積み重ねた経験や信頼こそが、もっとも必要な条件なのかもしれません。

夜勤がないので体力面でも負担が少ない

支配人には夜勤がないので、体力面でも負担が少ないメリットがあります。

支配人の仕事内容は、主に介護施設のマネジメント業務が中心です。

ただし介護施設の規模などによっては、まれに支配人が現場業務を担当する場面もあるかもしれません。特に今はコロナ禍であり、現場スタッフが一時的に不足するケースも考えられます。

以上の特殊なケースを除けば、支配人が夜勤に入ることはまずないでしょう。マネジメント業務が中心なので、体力面での負担は少ないです。

介護業界以外でも通用するスキルが身につく

支配人を経験すると、介護業界以外でも通用するスキルが身に付きます。

ここでは3つのスキルについて紹介します。

人材管理についてのスキル

人材管理についてのスキルは、介護業界以外でも求められます。どんな業界でも「人」がベースとなるからです。

具体的には、

  • 人材の育成や指導
  • 人材の採用
  • 統率力
  • コミュニケーション力など

以上のスキルは、介護業界以外でも重宝されます。

万一、異業種に転職した際にも活かせるでしょう。

収支管理についてのスキル

介護施設の運営には、収支管理のスキルも必要です。

売上や利益、人件費、修繕費などの管理を行います。

支配人を経験すると、数字の管理に加えて全体のバランスを意識するようになります。スタッフの人数や稼働率、そして利益。

全体を意識して運営することは、介護業界以外でも必要なスキルです。

施設マネジメントのスキル

介護施設の運営には、緊急時対応や地域との関係づくりも欠かせません。

他事業所との付き合いや本部とのやりとりも重要です。

あらゆる判断が、支配人に委ねられます。

責任感が伴う仕事である分、得られる経験やスキルは非常に大きいです。

大幅アップも夢じゃない?支配人の給与事情について

ここでは、支配人の給与事情について3つ紹介します。

具体的には、

  • 支配人の平均給与について
  • 支配人の賞与について
  • 支配人の年収について

の3つです。

それでは詳しく紹介していきます。

支配人の平均給与について

令和2年の政府調査によると、介護施設全体の支配人の平均賃金は382,036円/月でした。

最も高かったのは、医療法人の 644,331 円/月であり、施設系(入所型)が 566,345 円/月と続きます。

医療法人が高い理由は、医師が支配人になるケースが多いからと考えられます。

支配人の賞与について

令和2年、介護施設全体の支配人の平均賞与額は866,872円でした。

最も高かったのは、社会福祉法人の1,297,056円です。

次に社団法人の1,173,287 円、財団法人の1,096,829 円と続きます。

支配人の年収について

令和2年、介護施設全体の支配人の平均年収は5,355,413円でした。

最も高かったのは、医療法人の8,448,837 円です。

まとめ

介護施設を運営管理する支配人のメリットや収入について解説しました。

将来への不安を感じ、キャリアを積んだ男性介護士が業界を辞めてしまうケースが一定数あります。理由は、介護士として現場で働き続けることに自信が持てなくなるからです。特に夜勤については、年齢を重ねるごとに体力面で厳しくなってきます。

データとしても、男性介護士の平均年収は50歳をピークとして下降しています。

経験豊かな男性介護士がキャリアアップする方法のひとつは、「介護施設の支配人」になることです。

現場業務に入ることは少ないので、体力面での不安はありません。また介護施設を運営することで、多くのスキルが身に付きます。その上、年収500万円以上を得ることも難しくないでしょう。

今所属する施設で、すぐに支配人になれなくても方法はあります。

実は支配人を募集している介護施設は少なくないのです。

「自分のキャリアを活かしたい!」「大好きな介護の仕事を続けたい!」と思う方は、担当者と面談し詳細を確認することをおすすめします。

この記事を参考に、あなたがキャリアを活かし大好きな介護の仕事を続けられれば幸いです。

ABOUT ME
朝水 裕一/現役ケアマネライター
介護業務に従事して11年目の現役ケアマネジャー。 介護福祉士、認知症ケア専門士、第1種衛生管理者の資格を保有。 大型デイ、認知症対応型デイ、グループホームでの管理者経験あり。 管理者時代は「チームワーク重視の熱血型」。「2年間退職者ゼロ」を達成。 元塾講師の経験を活かし、介護職員初任者研修で講師を務めることも。 「分かりやすく人に伝える」をモットーにWebライターとして活動中。