この記事の要約

介護の仕事をするうえで大切な心構えやマインドセットについて解説します。介護士は日々の業務の中で、多くのスタッフ・利用者さんとの関わりを持ちますが、スタッフと利用者さんそれぞれでコミュニケーションをとる際のポイントがあります。各々、詳しく解説しますが、どちらにも共通する大切なことは「相手の立場を考えること」です。また、介護のプロとして求められる姿勢についても、介護現場での筆者の経験を元に記載しています。

これから介護士を目指す方や転職を控えている方に向けて、介護士の仕事をするうえで大切な姿勢について解説します。介護士として大切にすべき心構えやコミュニケーションのポイントなどを重点的に解説していますので、面接の回答などにもお役立ていただけます。本記事を参考に介護士としての心構えを明確に持ち、介護現場での仕事にいち早く慣れ、やりがいを感じていただけると幸いです。

介護職未経験者が感じる不安とは?

まずは、介護職未経験者が抱える不安について、整理しておきましょう。初めてのことに取り組む時は、誰しもが不安を抱えるものです。介護職未経験者は、介護現場でどのようなことが求められるのかをイメージしにくいため、様々な不安を抱えています。あなたも、次のような不安を抱えて、この記事を読んでいるのではないでしょうか?

  • 排泄介助や入浴介助など、自分にできるだろうか
  • 介護は体力が必要そうだけど、体力は持つだろうか
  • 認知症の対応などできるのか
  • 利用者と上手く接することができるだろうか
  • 先輩職員とうまくやっていけるだろうか

など

筆者も、介護職の面接を受けようと決意した当初は、上記のような不安を胸いっぱいに抱えていました。しかし、未経験者が不安を抱えるのは当然のことです。先輩職員もその気持ちを十分に分かっていますので、深刻に悩みすぎる必要はありません。この記事で介護職としての心構えを予習して、具体的なイメージを膨らませ、少しでも不安を軽減しましょう。

介護職として意識すべき大切なこととは?【介護士のマインドセット】

続いて、介護士として仕事をするうえで、大切にするべき心構えをお伝えします。

介護の目的は、高齢者や障がい者などの生活を支えることですが、すべてお手伝いをしてしまえばいいというわけではありません。介助をして生活を支えていく中でも、あえて要介護者自身にやってもらい、自立を促すこと(自立支援)が求められる場面もあるでしょう。

勤める施設の特性によって求められる姿勢は異なりますが、要介護者とその家族がどんな生活を望んでいるのかを常に把握しておくことが非常に大切です。

介護のプロに求められる姿勢とは?

「プロとして」と聞くと、少し尻込みしてしまう気持ちもあるかもしれません。しかし、介護のスキルを提供してお金を稼ぐ者として、徐々にプロ意識を持つように心がけましょう。

ここでは、介護現場で働くプロとして求められる姿勢を3つご紹介します。介護現場で仕事をしはじめて、少し余裕が出てきた頃に思い出していただければ幸いです。

周りの状況をよく観察する

介護士として介護施設で仕事をする場合、職員1名で複数の利用者さんを見ることが多いため、周りを広く見る力を養う必要があります。また介護現場では、認知症の方と関わる機会も多いため、事故を未然に防ぐ目的としても、観察力は重要です。様々な利用者さんと関わり、経験を積むことで自然に身につく場合も多いですが、先輩職員にアドバイスを求めるのも良いでしょう。

目標をもって、仕事に取り組む

介護現場に入って間もない頃は、全てが新鮮で覚えることも多く、目標を持つ意識は忘れてしまっていることの方が多いでしょう。しかし、介護施設の形態によっては、日々の業務内容にほとんど変化がない場合もあり、退屈に感じてしまうこともあるかもしれません。退屈に感じてしまうと気が緩み、利用者さんの命に関わる重大事故に繋がってしまう可能性も否定できません。自分自身の目標を明確に持ち、それに向かって日々の業務にあたることが大切です。

他の職員と協力しあう

介護は、決して1人で完結する仕事ではありません。褥瘡のケアや食事介助など、様々な業務がありますが、どのケアも複数の介護職や他職種の意見をすり合わせて質を高めていくものです。協力しあってこそ、ケアの効果を最大限高めることができます。協力し合う姿勢を忘れずに仕事に取り組みましょう。

介護業務の範囲は非常に広いため、求められる姿勢は様々ありますが、利用者さんの変化にいち早く気づき、改善の為の対策を考えられる職員になることが大切です。

介護士に求められるコミュニケーションのポイント

続いて、介護士に求められるコミュニケーションについて解説します。介護は複数の人数で協力しあって進めていく仕事であるため、人とのコミュニケーションが非常に多いです。コミュニケーションのポイントを抑え、スムーズに仕事を進められるようにしておきましょう。

本記事では、利用者さんとのコミュニケーションと職員同士のコミュニケーションとに分けてポイントを解説します。

利用者とのコミュニケーションで大切なこと

利用者さんの状態を見極めて、コミュニケーションを取ることが大切です。状態を見極めるとは具体的にどうすれば良いのか、その手法を3つご紹介します。

利用者のペースに合わせる

利用者さんの状態(認知症の有無など)によって会話の理解度には差があります。コミュニケーションを取りながら、理解度を確認し、話のスピードや言葉選びを変える工夫があると良いでしょう。

距離感を大切に

利用者さんに限らず、普段のコミュニケーションでもそうですが、不快感や警戒心を抱かせない距離感を保つ工夫が大切です。話しかけるタイミングや言葉遣いに注意しましょう。

ジェスチャーなども適宜取り入れる

言葉より、ジェスチャーの方が理解できる利用者さんも少なくありません。利用者さんの反応を確かめながら、声かけと同時にジェスチャーを取り入れるのも1つの方法です。

職員同士のコミュニケーションで大切なこと

続いて、職員同士のコミュニケーションについてです。今からご紹介するのは、初めての職場で仕事を始めたばかりのころ、筆者が意識していたことでもあり、実体験に基づいているので、ぜひ参考にしてください。

郷に入っては郷に従えを意識する

例えば転職で新しい職場にいく場合、最初は先輩職員がついて業務を教えてくれます。その場合、万が一、すでにできることを教わったとしても、最初は教わる姿勢を崩さないように心がけましょう。今までの経験を活かすのは大切ですが、先輩職員は、自分の業務も抱えながら指導に時間を割いているということを忘れてはいけません。即戦力として期待されていても、プライドの出し方を誤り、人間関係の構築に失敗する人も多いので注意しましょう。

相手の立場に立つ姿勢を忘れない

介護現場は多くの場合、非常に忙しい状況にあります。それぞれの職員が多くの業務を抱えていますので、相手の状況をみて、負担にならないようなタイミングや伝え方をする意識を忘れないようにしましょう。

理想の介護士像とは?

次に理想の介護士像について解説します。

介護は、生活全般の支援が主な仕事内容であり、業務の範囲は非常に広いです。食事介助・移乗・更衣・入浴介助など様々な場面で1日に多くの利用者さんと関わりを持ちますが、「介護には正解がない」と言われるほど、介護のアプローチの仕方は無数にあります。そして、利用者さんの状態によって適切な対応は異なります。もちろん、覚えておくべき基礎知識はありますが、介護のアプローチ方法において「絶対にこうしなければならない」というルールはあまりありません。

介護を続けていく中で、自分の理想はできていくものなので、最初から完璧を目指すより、他の職員の対応を見て実践を繰り返し、自分の理想を見つけていくという姿勢が正しいかもしれません。

とはいえ、未経験の状態で面接を受ける際、理想の介護や大切にしたい姿勢について問われることもあるでしょう。その際は、すでに解説した、コミュニケーションのポイントや介護士に求められることを参考に、「目指したい介護士像」を答えるのもおすすめです。

介護士に向いている人・向いていない人

最後に、介護士に向いている人と向いていない人の違いについてかんたんに解説します。介護士の仕事も、他の多くの職業と同様に、向き不向きは明確に存在します。実際、筆者が介護現場で仕事をしていく中で、向いていないだろうな…と感じてしまう人はいます。

一方で、あまり経験がなくても利用者さんからの評判がよく、向いているなと感じる職員がいるのも事実です。

これほど明確に介護の向き不向きはわかるものですが、詳しくは、「あなたはいくつ当てはまる?介護士に向いている人の特徴5選」で解説していますので、こちらをご覧ください。

とはいえ、介護の仕事は誰でも始められるものなので、気になっている場合、向き不向きにとらわれすぎず、一度チャレンジしてみてほしいと思います。

まとめ

本記事では、介護業界に初めて入る方や転職を控えている方向けに、介護士としての心構えや大切にすべき姿勢について解説しました。

介護は多くの人と関わり、たくさんのコミュニケーションをとる仕事です。多くの経験を積み、ご自身の理想の介護士像を見つけていただければ幸いです。

ABOUT ME
椿 るい/現役介護福祉士ライター
介護業務に従事して9年目の介護福祉士。 介護現場でのリアルを伝えるため、Webライターとしても活動中。 特養や精神科での勤務経験を活かし、事実に基づいた「生の声」をお伝えします。また、ユニットリーダーなどの役職の経験や常勤・派遣・夜勤専従派遣といった複数の働き方の経験もあるため、介護士としての働き方や給与の問題は特に経験と知識が豊富です。