介護職の働き方と特徴について解説します。介護業界は、他の産業に比べ、非正規雇用で働く人の割合が多く、正社員の他にパートやアルバイト・契約社員・派遣社員といった働き方があります。それぞれにメリット・デメリットがありますが、非正規雇用でも、求人が多くあり、柔軟に働くことができる業界ともいえるでしょう。ご自身のライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができることを知り、ライフスタイルに応じた雇用形態を選択できるようにしておきましょう。
介護職は正社員以外にも、様々な働き方が可能です。介護職の労働実態調査によれば、非正規職員の割合が非常に高く、訪問介護事業所に至っては、約半数が非正規との結果もあります。どのような働き方ができるかを知り、選択肢を増やすことは、転職や離職のきっかけを減らすことにも繋がります。介護職として働く場合、どのような働き方ができるのか?そして、それぞれのメリット・デメリットはどういったものなのかを本記事で解説します。
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【おさらい】介護士ってどんな仕事?
まずは、介護士の仕事について簡単に解説します。すでに理解されている方が多い項目だと思いますので、流し読みしていただいても構いません。要点をまとめて記載します。介護の仕事についてまだよく分からないという方は、しっかりと読んで頂ければ幸いです。
介護士は資格がなくても働き始めることができます。要介護者の生活を支えるのが主な役目であり、介護施設や医療機関、訪問介護事業所などで活躍する方が多いでしょう。資格がなくても始められて、学歴が不要なため、子育てをしながら時短で働くなど、フルタイム以外の働き方を選択する方も多く、パートや派遣といった働き方を選ぶ方も多いです。
介護士の働き方は?それぞれのメリット・デメリットを解説
では、介護士はどのような働き方ができるのでしょうか?介護職で働く人の雇用形態について次の4つのメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
- 正社員
- 契約社員
- パート・アルバイト
- 派遣社員
正社員
最も一般的な雇用契約です。介護業界では「常勤」と呼ぶことも多く、求人も多数です。日勤帯のみで働くこともできますが、介護施設に勤務する場合は、早番・日勤・遅番・夜勤と4交代制シフトで働くことの方が多いでしょう。
正社員のメリット
正社員のメリットはなんと言っても安定です。コロナ禍でも求人は残っていましたし、飲食業やホテル業界など打撃を受けやすかった業界に比べれば、給与ダウンを経験した人は非常に少ないでしょう。年々介護士の処遇は改善されており、2022年からは、さらに月給が9,000円ほどアップしています。
正社員のデメリット
一方で正社員は、仕事量が多く、人手不足の職場が多い傾向があります。また、シフト制で様々な時間帯の勤務をこなす必要があるため、不規則な生活リズムになりがちです。ある程度の体力が必要とされる雇用形態といえるかもしれません。
契約社員
続いては、契約社員についての解説をしていきます。契約社員とは、期限付きの雇用のことを指し、介護業界では、試用期間などで適用されることがあります。契約社員で長期間働く人はあまり多くなく、正社員に転向もしくは、パート・アルバイトで働く場合が多い印象です。
契約社員のメリット
契約社員のメリットは、正社員に登用される確率が高いことです。介護業界は、人手不足の職場が非常に多く、契約社員として働き、問題がなければ積極的に常勤として働いてほしいと考える職場も珍しくありません。
契約社員のデメリット
一方で、正社員登用の話がなければ期間満了と共に職を失うリスクも抱えています。とはいえ、介護業界は人手が足りていない法人・企業が非常に多くありますので、簡単に契約を終了されることはあまり多くはないでしょう。
パート・アルバイト
パートやアルバイトは、直接雇用のまま時短勤務をしたい人向けの働き方です。働く曜日や時間を指定できる点は後述する派遣社員と似ていますが、雇用主が異なります。給与や賞与をはじめ、就業規則は勤務先の施設に準じます。いずれは正社員になりたいと考えている方にもおすすめです。
パート・アルバイトのメリット
パート・アルバイトのメリットは働く時間に融通を効かせられる点です。不規則な勤務をする必要もないため、子育てや家族の介護をしながら働きたい場合や、学校に通いながら働きたい場合に選択を検討する働き方の1つでしょう。
パート・アルバイトのデメリット
パート・アルバイトのデメリットは時給が高くないことです。地域によって時給には差があるため、一概にはいえませんが、給与を優先したいのであれば、派遣社員として働く方が、より多い金額を稼ぐことができる可能性は高いでしょう。
派遣社員
次は、派遣社員について説明します。派遣社員は、派遣会社を通して介護施設や医療機関、事業所などで働く方法です。時給も高めで、働き方の融通は聞きやすいですが、地方だと求人が少ないところもあります。また、働く場所と雇用主が異なるので注意しましょう。
派遣社員のメリット</h4>
派遣社員の主なメリットは、主に次の5つです。
- 残業が発生しにくい
- 雑務が少ない
- 時給が高い
- 正社員登用も可能
- 勤務の時間帯や曜日が選べる
働く時間や曜日が選べる点は、パートやアルバイトと同様ですが、派遣の方が時給が高めです。また、派遣は基本的に人手不足の施設に派遣されるため、派遣先での評価が高ければ、正社員への転向を打診されることも珍しくありません。
派遣社員のデメリット
派遣社員として働くことのデメリットは、以下の2つです。
- 賞与がないことが多い
- 職場を転々とする可能性もある
派遣社員は、時給が高めな分、ボーナスが無かったり、正社員と比べると非常に少額だったりします。また、労働契約が月単位になるため、自分と派遣先の双方が契約を更新しなければ、新たな派遣先を探すことになります。安定性に欠けるのは、派遣社員の大きなデメリットと言えそうです。
介護士の主な職場の特徴
続いて、介護士の職場について、それぞれの職場の特徴をかんたんにご説明します。
介護施設
特養・有料・老健・グループホームなど、複数の種別があります。24時間稼働の施設が多いですが、デイサービスなど日中のみの営業の施設もあるため、ご自身のライフスタイルに応じて職場を選ぶことができます。
24時間体制の施設は、多くが4交代制であり、早番・日勤・遅番・夜勤といった勤務形態があります。
医療機関
介護士は医療機関でも働けます。筆者の介護士キャリアのスタートは病院でした。介護施設ほど、介護士の裁量は大きくなく、看護師の補佐・雑用も多いです。しかし、看護師の仕事を間近で見ることができるので、看護師へのキャリアチェンジを視野に入れている方には特におすすめです。
個人宅
訪問介護事業所で働く場合を指します。要介護者の自宅に出向いて介護サービスを提供する働き方です。介護は基本的に、無資格でも始められますが、訪問に関しては、初任者研修以上の資格が必要になることが多いので注意が必要です。
介護士が非正規雇用を選ぶ理由
介護業界は他の産業と比べると非正規雇用の割合が大きいです。その理由は様々ありますが、その中でも主な理由を3つ解説します。
不規則な生活になるから
24時間稼働の施設や医療機関で働くと、4交代制で夜勤を含む様々な勤務をする必要があるため、家庭との両立が難しい場合もあります。そのため、家庭を優先して働きたい多くの人は非正規を選ぶ傾向があると言えるでしょう。
非正規雇用でも十分な給与が見込める場合がある
地域差はありますが、経験と資格がある介護士の場合、派遣で時給2,000円弱程度で働けます。夜勤も含めれば30万円以上稼ぐのは難しくありません。そのため、正規雇用を望まず、自由度の高い働き方を選ぶ人も多いのです。
正社員の仕事量が多い傾向にあるから
正社員の介護士の仕事は、介護現場の利用者対応だけではありません。家族対応・行事の企画や立案、委員会、書類作成諸々業務の合間を縫って行う必要があります。利用者対応以外の仕事が意外と多く、それを負担に感じて、非正規を選ぶ人も少なくありません。
介護士のキャリアパス解説
最後に、介護士のキャリアパスについて、簡単に解説します。本記事で解説してきたとおり、介護士の働き方は複数あります。その中で、ご自身が思い描くキャリアパスに応じた働き方を選択しましょう。
介護士の最も一般的な資格取得の手順は、無資格→初任者研修→実務者研修→介護福祉士です。現場で経験を積んだ後、しばらく現場を離れないのであれば、認定介護福祉士や認知症ケア専門士などより専門性の高い資格を取得するのも良いでしょう。管理職などに興味がなく、ずっと現場でいいという方であれば、派遣やパートで自由度の高い働き方をするのも1つの方法です。
一方で、現場を離れたいなら、ケアマネの資格を取り、施設に勤めたり、独立したりという選択肢もあります。
また、介護業界の平均勤続年数は10年未満と短いですが、1つの法人・企業に長年務めることで施設長など、比較的裁量のある役職になりやすいという利点もあります。
ご自身がどのようなキャリアを歩みたいかによって様々な選択肢がありますので、よく考えながら進んでいきましょう。
まとめ
本記事では、介護士の働き方について主に解説を行いました。介護士の主な働き方は正社員・契約社員・パートやアルバイト・派遣社員の4つです。また、介護業界は他の産業に比べて非正規雇用が多いことから、各々のキャリアに合わせて自由に働き方を選択できる業界であるともいえます。ご自身の望むキャリアに合わせて、柔軟に働き方を選んでいきましょう。