この記事の要約

介護士として働くことで得られるメリットは複数あります。学歴や資格がなくても始められる点や、コロナ禍でも収入が減少しにくい点などが主なものとして挙げられるでしょう。また実務経験を積み、介護福祉士の資格を取得することで、給与アップや役職者への抜擢なども見込めます。介護士は肉体労働が多いため、ある程度の体力が必要な面があったり、夜勤ができないと収入が低くなる可能性があったりと事前に把握しておくべきポイントはいくつかありますが、それぞれ対策が可能です。また、介護士に向いている人の特徴や、やりがいを見いだせなくなった時の対策なども記載しています。

介護士として働くことに興味を持った方の中には、介護士として働くメリットは何だろう?と疑問に感じている方も多いかと思います。特に転職を検討されている場合は、現職と比較して、どちらがご自身のライフスタイルに合うかといったことを考えている方もいるでしょう。

そこで本記事では、介護士として働くメリットや働くうえで認識しておくべきポイント、介護福祉士を目指すべき理由などを解説します。転職を検討されている方が、本記事を読み、介護業界に進むことを前向きに考えるきっかけにしていただけたら幸いです。

介護士として働くメリット6選

まずは、介護職として働くことのメリットをご紹介します。筆者は現役介護福祉士として、介護業務に従事していますが、特に強く感じるメリットは次の6つです。

介護士として働くメリット
  • 学歴が問われにくい
  • 無資格・未経験からでも始めやすい
  • 就職しやすい
  • 働き方の融通が効きやすい
  • 国家資格が目指せる
  • コロナ禍でも収入が安定する

学歴が問われにくい

介護士として就職する際に必要な学歴は、企業・法人により多少異なります。しかし、介護職に就くために必要な学歴は「高卒以上」とされている場合が多く、実際の現場には高卒もしくは専門学校卒の職員が多いです。高卒〜大卒まで幅広い学歴の職員がおり、学歴によって業務が異なることはほとんどありません。

無資格・未経験からでも始めやすい

介護職の求人は「無資格・未経験可」と記載のあるものが非常に多いです。経験があれば、重宝されるのは間違いないですが、経験や資格がなくても正社員での就職は比較的容易でしょう。正社員の他には、パートやアルバイト、派遣といった働き方も可能です。

就職しやすい

介護業界は慢性的な人手不足です。職員が足りていない施設が多いため「就職したいのに求人が見つからない」という悩みは起こりにくいでしょう。未経験から正社員になることもできますし、家族の転勤やライフステージの変化に伴う再就職も難しくありません。

働き方の融通が効きやすい

24時間体制の介護施設に勤める場合、シフト制で働くことが多いため、平日休みが可能です。お子さんの学校行事に参加したり、平日のテーマパークに遊びに行ったりすることもできます。「不規則で大変」と思われがちですが、プライベートを充実させやすいという側面もあるのです。

国家資格が目指せる

無資格で介護士を始めた場合、3年の実務経験を積み、実務者研修を修了すれば、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。学歴・資格ゼロから手に職を付けたい方にピッタリの職業と言えるでしょう。実際、筆者の職場には「無資格・未経験・学歴なし」で入職した主婦の方が介護福祉士を取得しているケースもあります。

コロナ禍でも収入が安定する

新型コロナウイルス感染症の流行と共に収入の急激な減少を経験した方も少なくはないでしょう。しかし介護士は「コロナによる収入減少とは無縁!」という場合が非常に多いです。もちろん自分自身が罹患しない努力は必要ですが、特養・老健などの24時間体制の施設であれば、仕事は通常通りあるため、収入減少はありません。収入の安定を求める方には非常におすすめできる職種です。

介護士として働くうえで認識しておきたいこと【対策あり】

続いて、介護職として働くうえで、認識しておくべきポイントについて解説していきます。

体力が必要

介護士の仕事は肉体労働です。そのため、ある程度の体力は必要でしょう。時には体格のいい男性利用者を車椅子に移乗するなどの場面もあります。しかし、業務の大変さは職場によってかなり差があるため、利用者の自立度が高い職場を選ぶなどの工夫をすれば、体力に自信がなくても問題なく、介護業務に従事できるでしょう。

給与が低くなる可能性がある

介護士の給与は資格手当や夜勤手当など各種手当を重ねて金額が上がっていくことが多いため、入職したての頃は給与が低くなりがちです。経験が反映されることも多いため、未経験での入職の場合はなおさらでしょう。しかし経験を重ねれば、転職しても給与が下がりにくいという側面もあります。また、最初からある程度の給与を望む場合は、派遣という働き方を選ぶと、比較的給与の減少を抑えられる可能性もあります。

社会的地位が低いと感じる人も…

介護士は仕事を始めるまでの敷居が非常に低いため、「誰でも出来る仕事」「大変なのに安月給」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、介護士は経験ゼロから年収450万円〜500万円程度(地域によって変動あり)を目指すことができ、国家資格も取得できます。そのため、職業が原因でローンや家賃の審査に通らないということもありません。しっかりと社会的地位を保てる仕事です。また、緊急時の対応や時には生死を分ける判断を迫られる場面も。決して誰にでも勤まる業務ばかりではありません。

介護福祉士を目指すメリット

介護士は資格がなくても始められるにも関わらず、介護福祉士という国家資格の取得が目指せます。では、介護福祉士を取得することでどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

給与が上がる

なんと言っても、最大のメリットは給与が上がることでしょう。介護福祉士の手当は、法人によって多少の差はありますが、月10,000円前後の場合が多いです。単純計算で年間12万円の収入アップになります。介護士は資格がなくてもできるため、「資格はいらない」と考える方もいますが、受験資格があるなら、取得しないのは非常にもったいないです。積極的にチャレンジすることをおすすめします。

役職に就きやすくなる

介護福祉士は、数ある介護の資格の中で唯一の国家資格です。企業・法人は、介護福祉士を持っている職員が増えることで、会社としての信頼性を高めることもできます。そのため、介護福祉士を持っていないと役職に付けない職場も存在するほどです。いずれは部下を抱えるポジションに就きたいと考えている方は、特に取得しておくべき資格と言えるでしょう。

転職の際も有利

先ほども記したように、介護福祉士が多く在籍することで会社の信頼性を高める効果もあるため、求人応募の際、介護福祉士を持っていると有利に働くことが多いです。例えば、家族の仕事の都合で転勤が多い方など、転職の機会が多い方は、特に介護福祉士を取っておいて損はないでしょう。

介護士の仕事内容

介護士の仕事は、高齢者または障がい者など、生活に手助けが必要な方々の支援が主です。具体的には、次のような仕事がありますが、生活全般のお手伝いをすると考えておくと、イメージがしやすいでしょう。

  • 更衣(着替え)介助
  • 食事介助
  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 口腔ケア
  • 外出の付き添い

また、仕事の範囲は働く場所により違いがあるため、さらに詳細な仕事内容を知りたい場合は以下の記事をご参照ください。

介護士に向いている人の特徴

 
 
介護士の仕事に興味を持ったけれど、私に向いているか分からない……

そんな気持ちを抱えている方もいるでしょう。そこで、介護士に向いている人の特徴を3つご紹介します。

  • 働き方の融通を効かせたい人
  • チームで仕事を進めていきたい人
  • コミュニケーション能力がある人

正直に申し上げると、介護士に向いている人の特徴はもっと沢山挙げられるのですが、今回は働き方の面と性格面で向いている人の特徴をピックアップしました。

介護士の仕事はシフト制であり、平日・祝日問わず好きな日程でお休みを申請することが可能です。プライベートを優先した働き方もでき、非常に融通が効きやすいと言えます。さらに、介護施設であれば、複数の利用者に複数の介護士でケアにあたることが多いため、基本的に1人で仕事をする場面が少ないです。様々な職員と連携しながらチームで仕事を進めていく環境が多くなります。

そして、このような場面では、職員同士で密なコミュニケーションを図ることが求められます。

このようなことから、介護士に向いている人の特徴として上記3つを挙げました。しかしながら、働き方や仕事の進め方は、働く場所により様々であるため、必ずしも上記の特徴に当てはまっていなければならないというわけではありません。

介護士は活躍の幅が広い職種です。ご自身に合う職場をゆっくり探すのも良いでしょう。

介護士として働き始めるには?

実際に介護士として働き始める方法はいくつかあります。学校に通ってから働き始めるのももちろん良いですが、介護士は資格が無くても現場で働くことができます。

もしあなたが、すぐに働きたいと考えている場合は、無資格・未経験可の求人を探して応募するのが良いでしょう。転職エージェントに登録したり、求人を検索したりして、自宅から通える場所に働けそうなところがあるか、一度調べてみることをおすすめします。

実際に面接に臨む際は、資格取得の意欲を見せたり、具体的な将来の目標をハッキリと伝えたりすることができれば、無資格・未経験であっても面接に受かる可能性を高めることは十分可能です。

介護士にやりがいを感じなくなった時の対処法

最後に介護士として、すでに働いた経験がある方に向けて、介護の仕事にやりがいを感じられなくなった時の対処法について解説します。本記事でご紹介する具体的な対処法は以下の3点です。

  • 仕事以外でやりがいを見つける
  • 実際に一度辞めてみる
  • 転職を真剣に考えてみる

介護は、認知症や精神疾患を抱えた方と関わる機会も多く、さらに人間関係に関する悩みを吐露する方も大勢います。筆者も一度介護職を離れ、戻って来た経験があります。いつでも再就職できるのも介護士として働く事のメリットですから、辛くなったらその職場に固執するのをやめて、柔軟に考えてみるのも良いでしょう。

外に目を向けることで、今あなたが居る場所の良い点・悪い点を客観的に見ることができ、最適解を導き出しやすくなるかもしれません。

まとめ

本記事では、介護職として働くことのメリットを始め、働くうえで認識しておくべきことや介護福祉士を目指すメリットなどを現役介護福祉士の立場から解説しました。

これから介護士を目指そうとしている方や、すでに介護士として働いていて、やりがいが分からなくなってしまった方に介護士として働くメリットなどを再確認していただき、今後の選択に活かしていただけたら幸いです。

ABOUT ME
椿 るい/現役介護福祉士ライター
介護業務に従事して9年目の介護福祉士。 介護現場でのリアルを伝えるため、Webライターとしても活動中。 特養や精神科での勤務経験を活かし、事実に基づいた「生の声」をお伝えします。また、ユニットリーダーなどの役職の経験や常勤・派遣・夜勤専従派遣といった複数の働き方の経験もあるため、介護士としての働き方や給与の問題は特に経験と知識が豊富です。